丸亀製麺の香川県進出失敗に見るマーケティングの難しさ
神戸にあるトリドールという会社
がやっている「丸亀製麺」は
さぬきうどんチェーンの大正義です。
その丸亀製麺が
香川県に逆上陸しましたが、
苦戦が続いています。
3店舗オープンしたものの、
その内1店舗は今年閉店してしまいました。
丸亀製麺のうどんは美味しい
香川にはうどん屋が約800店舗もあり
丸亀製麺よりマズイうどん屋は
沢山あります。
丸亀製麺のレベルに慣れた人を
感動させるうどん屋は
現状香川県内に20店舗もないような気がします。
丸亀製麺は香川で成功出来る
ポテンシャルは十分ありますが、
香川県のうどん事情を調査しないまま
進出してしまったのが間違いでした。
観光客向けと地元民向け
香川のうどん屋にはこの2種類が存在して、それぞれ性質が異なります。
観光客向けは
コスパよりも非日常性が重要です。
さぬきうどんブームの原点は
製麺所(工場)で出来たての麺を
その場で頂くスタイルが主流でした。
今は製麺所も飲食スペースを作っている所が多く、県外からの観光客にも対応出来ます。
ネットが発達して以降
入り組んだ住宅街の中にあろうが
山の中にあろうが
集客には問題ありません。
一方で、地元民相手のうどん屋は
純粋なコスパ勝負です。
丸亀製麺の場合は
当然後者の枠になります。
香川県に丸亀製麺が出来たからといって
観光客が行くわけないですから。
営業時間に問題が
香川県民は
「昼間うどん、夜は別のモノ」
という食生活パターンがメインです。
そのため香川にあるうどん屋の9割以上が
夕方までに店を閉めます。
そんな中、香川にある丸亀製麺は
他県同様に夜まで営業しています。
昼間は十分な集客が出来ていますが、
夜はどうしてもガラガラです。
閉店した栗林店は車でのアクセスこそ絶好な場所にあるものの、牛丼・ファミレス・ラーメン屋などの飲食店が立ち並ぶ激戦区でした。
丸亀製麺が出店した場所は競合のうどん屋を避けた形でしたが、そこに何故うどん屋が無いかを考えなかったようです。
県外なら牛丼屋、ファミレス、ラーメン屋相手でも丸亀製麺のうどんは太刀打ち出来ます。
しかし、香川県だとうどん屋以外の飲食チェーンはまだまだ希少性が高く、一方でうどんは飽和状態ですから苦戦をしいられるわけです。
丸亀製麺は出店する場所を間違えたと言えます。
チェーン店の成功例
では香川で成功しているチェーン店は
何を基準に出店しているのでしょうか。
一番解りやすい例が香川で最大勢力となりつつある「こだわり麺屋」です。
特徴的なのは初期の頃に出店した
高松店・国分寺店・坂出鴨川店・宇多津店の立地。
これらの店の立地にはある共通点があります。
さぬきうどんに詳しい人ならすぐ解ると思いますが、一般の人にはまず解らない要因です。
正解は超有名なうどん屋がすぐ近くにあるという点です。
高松店周辺は「竹清」・「さか枝」といったクラシカルな有名店が立ち並びます。
国分寺店のすぐ近くには「一福」があり、鴨川店のすぐ近くには「蒲生」があり、宇多津店のすぐ近くには「おか泉」があります。
県外観光客に知れ渡っているような
これらの人気店には行列が出来ます。
観光客は並んで待ちますが、
地元民は行列を見たら
「他のうどん屋でいいや」
となります。
そこを狙っているわけ。
地元民相手のうどん屋と
観光客相手のうどん屋とでは
必ずしも競合相手とはならないのです。
観光客向けのうどん屋は必ずしもコスパが高いわけでは無いという要因もあります。
一方で丸亀製麺は観光客相手のうどん屋を「競合店」と勘違いして、本当の競合店である他業種の飲食店が立ち並ぶ場所に店を構えたのが失敗の原因です。
丸亀製麺の不評な点
丸亀製麺が香川でやっていく上で改善しないといけない点はもちろん立地だけではありません。
それは大盛りの値段です。
うどんの質、サイドメニューの質は
香川でも通用するだけのものがあります。
しかし、大盛り値段だけは
超絶ボッタクリです。
丸亀製麺は1.5玉を大盛り、2玉を特盛りとしています。
並から特盛りへと1玉増やすと200円値上がりです。
しかし、香川の相場は1玉追加した場合50円~100円となっています。
1玉100円を超えるとなると
「ここでしか味わえないレベルの逸品」
である事が求められます。
凄く細かい所ですが、
うどん県民はそこまで気にします。
逆にそこは県外人を騙せるポイントです。
香川のうどんチェーン店が
県外に進出する場合は
参考にすべきだと思います。