ダゾーンの価格や視聴形態に日本市場での勝算はあるのか
世界的なメディア企業であるPerform GroupがJリーグと10年2100億という金額で放映権を落札した事で話題となっています。
インターネットによるスポーツ特化型見放題サービス「DAZN(ダゾーン)」で配信するそうです。
契約はNHKなどの無料放送は別枠で、インターネット放送やCS放送での権利となります。
正直この金額には驚きました。
ペイできるわけない
今回Perform Groupが提示したのは、これまで放映権を持っていたスカパーの7倍の金額です。
ただ、値段をいくらで配信するつもりでしょう。
ちなみにスカパーのJリーグセットは約3000円となります。
それより安い値段なら、スカパーを解約せずともダゾーンと契約するはず。
ただ、そんな金額ではペイ出来ません。
Jリーグのファン数はそこまで多くないからです。
日本のサッカー人気はあくまで「日本代表」や「なでしこジャパン」によって支えられています。
Jリーグの人気は別です。
これまでスカパーが出していた金額でも全然ペイ出来てないと言われています。
Jリーグセットの加入者数は公表されていませんが、多く見積もっても加入世帯数の10%にあたる30万世帯です。
実際はその半分の15万世帯くらいだと言われています。
ゆえにPerform Group社がCSの権利をスカパーに転売するかもしれませんが、今より高い金額だとNOと言うはずです。
実際サッカーのワールドカップも値段が高すぎてスカパーは降りました。
投資に見合わない放映権なんて獲得しても仕方がないのです。
もちろん、インターネット配信により新たな層を掘り起こす事は可能かもしれません。
しかし、スカパーもJリーグのオンデマンド配信を既にやっています。
金額は月あたり約3000円です。
ダゾーンは他にもVリーグやUFCとも提携するそうですが、どちらもマイナーコンテンツだと言えます。
そんなコンテンツを混ぜられて高値で販売されても誰も買わないはず。
つまり、月3000円より安くてはペイ出来ないですし、高くても加入者数が少なくなるでしょう。
何処に勝算があるのか知りたいです。
世界的には放映権の高騰
確かに世界各国のスポーツの放映権料は値上がりする一方となっています。
ところが、視聴率は右肩上がりじゃありません。
メジャーリーグもヨーロッパサッカーも年々面白くなっているわけではないですから。
ただ単に有料テレビ局による囲い込み競争です。
市場を独占したアマゾンが年々改悪しているように、後から収益を絞りとるというビジョンを描いています。
ダゾーンのPerform Group社もスカパーを駆逐して日本のスポーツ観戦市場を独占しようと考えているはずですが、一つ大事な点を見落としています。
それはスポーツ観戦市場が年々縮小している事です。
上記で紹介したファンの数の推移を見ても解るように、どのスポーツも右肩下がりとなっています。
スポーツに興味を持つようなアクティブ層の減少とスマホゲームなどの他の娯楽との競争に晒されているからです。
市場を独占しても縮小していては意味がありません。
果たしてどうなるでしょうか。